「マンションだから断熱リフォームはできない」と思い込んで、あきらめていませんか。
今回のケースは、築20年・鉄筋コンクリート造のマンションです。LDKの大きな掃き出し窓を中心に、寝室・キッチン・玄関まわりを含む窓8面に内窓「インプラス」を設置しました。東海の都市部でご相談の多い「夜になっても室温が下がらない」「窓を閉めきると暑いが、開けると外の音が氣になる」という、二つ同時のお困りごとに対する処方です。
内窓は既存の窓を壊さず、住戸の室内側に取り付けます。そのため多くの場合、共用部の変更にはあたりません(詳しくは本文で後述します)。この記事では、なぜLDKを最優先にしたのか、部屋ごとの判断を写真とあわせてお伝えします。
今回のお住まいについて
なぜ都市部のマンションは、夜になっても涼しくならないのか?
ご相談時にうかがっていた主なお困りごと
- 日が沈んでも室温が下がらず、就寝時までエアコンを止められない
- 湿度が高く、設定温度を下げてもすっきり涼しくならない
- 窓を閉めきると暑いが、開けると車の音が入ってきて落ち着かない
- LDKの大きな窓のそばに立つと、ガラスから熱がにじみ出るように感じる
- 断熱リフォームに興味はあるが、マンションでできるのかが分からない
マンションは戸建てに比べて氣密性が高く、上下階や両隣に住戸があるぶん、外氣の影響を受けにくい構造です。それにもかかわらず「暑い」と感じる原因の多くは、窓にあります。
夏に室内へ入ってくる熱のうち、約7割は窓などの開口部から入ってくるといわれています。マンションのLDKには、バルコニーに面した大きな掃き出し窓が設けられていることがほとんどです。壁の面積に対して窓の割合が大きいため、そこから入る日射熱の量も大きくなります。
加えて、名古屋のような都市部では、アスファルトや建物が日中に蓄えた熱によって夜間も外氣温が下がりにくい傾向があります。鉄筋コンクリート造そのものも熱を蓄えやすい性質を持つため、日中に窓から入った熱が躯体や床に蓄えられ、日が沈んだあともゆっくり放出され続けます。「夜になっても室温が下がらない」という感覚は、外と内の両方に熱が残っているためと考えられます。
そして、都市部でもう一つ避けて通れないのが音です。暑いから窓を開けたいが、開けると幹線道路の音が入る。この「二者択一」を解消できる点が、内窓という処方の特徴でもあります。
マンションで内窓は付けられる? 管理規約の考え方
ご相談でもっとも多くいただく質問です。結論から申し上げると、多くの場合、内窓の設置は可能です。
一般に、マンションの窓サッシやガラスは「共用部分」として扱われ、勝手に交換することができません。一方、内窓は既存の窓には手を加えず、その内側(専有部分である室内側)に、もう1枚の窓を新設する工事です。外観も変わりません。このため、共用部分の変更にはあたらないと判断されるケースがほとんどです。
ただし、管理規約の定めは物件ごとに異なります。工事の届出が必要な場合、作業時間帯や搬入経路が定められている場合もあります。わたしたちは、着工前に必ず管理規約をご確認いただくようお願いしています。ご不明な場合は、確認の進め方も含めてご相談ください。
診療所からの一言「規約が心配で問い合わせをためらっていた」という方は少なくありません。わたしたちは窓を"売る人"ではなく、"診て、直す人"です。確認の結果、設置が難しいと分かった場合には、その旨を正直にお伝えします。ガラス交換など別の処方が成り立つかどうかも、あわせて診ます。
ご提案内容:LDKを最優先にした理由
今回、限られた予算のなかで優先順位を付けるにあたり、わたしたちはLDKを最優先としました。理由は3つあります。
理由1:窓の面積がいちばん大きいから
入ってくる熱の量は、窓の面積に比例します。LDKの掃き出し窓は住戸のなかでもっとも面積が大きく、ここを処方することが、投じた費用に対してもっとも効きやすいと考えられます。
理由2:滞在時間がいちばん長いから
冷房を使う時間が長い部屋ほど、熱の侵入を抑えた効果が電氣代に表れやすくなります。ご夫婦2人暮らしで日中もLDKで過ごされるという生活の仕方から、ここを起点にしました。
理由3:夏の工事が、そのまま東海の冬への対策になるから
東海エリアは、夏の蒸し暑さと冬の底冷えの両方があります。内窓は既存窓との間に空氣層をつくるため、夏の遮熱と冬の断熱の双方に働きます。特にマンションでは、冬に窓ガラスが結露してカーテンにカビが出るというご相談も多くいただきます。夏のお困りごとを入り口に処方した工事が、冬の結露への対策としても働く点は、あらかじめお伝えしています。
施工前後の様子(Before → After)
玄関まわりから順に、寝室・キッチン・LDKの写真をご覧ください。写真によっては1枚に複数の窓が写っています。
① 玄関まわり
マンションの玄関まわりは、共用廊下側に面した小さな窓が設けられていることがあります。面積は小さいものの、人の行き来する側に面しているため、音とにおいの入り口にもなります。内窓を加えることで、外の音が届きにくくなる効果も期待できる箇所です。
② 寝室(窓2面)
1枚の写真に2面の窓が写っています。同じ部屋に複数の窓がある場合、片方だけを処方すると、残した窓が熱と音の入り口として残ります。部屋単位で効果をまとめるため、同時に処方しました。
③ 寝室(続き)
寝室は、就寝中にエアコンの設定を下げすぎずに済むかどうかが快適さを左右します。窓からの熱侵入を抑えることで、弱めの設定でも室温を保ちやすくなることが期待できます。都市部では、夜間の車の音が届きにくくなる点をあわせて評価される方も多くいらっしゃいます。
④ 寝室(続き)
内窓は室内側に取り付けるため、カーテンレールやブラインドとの取り合いを現地で確認します。奥行きが足りない場合は、レールの位置を調整するか、内窓の納まりを変えて対応します。この確認を省くと、設置後にカーテンが閉まらないといったことが起こります。
⑤ キッチン
キッチンは調理の熱と湿氣が加わるため、東海の夏ではもっとも過酷になりやすい場所です。LDKと一体になっている間取りでは、キッチンの窓を残すとLDK全体の効果が目減りします。今回は続きの空間として一緒に処方しました。
⑥ LDK
今回の処方の中心となるLDKです。既存のアルミサッシの内側に、樹脂枠の内窓が入りました。樹脂は金属に比べて熱を伝えにくいため、枠まわりから伝わる熱も抑えられます。
⑦ LDK(続き)
既存窓と内窓のあいだにできる空氣層が、熱の伝わりを抑える層として働きます。この空氣層は音の伝わりも抑えるため、断熱と防音の両方に効くという点が、都市部で内窓が選ばれる理由の一つです。
⑧ LDK 掃き出し窓(窓2面)— 今回いちばん大きな熱の入り口
バルコニーに面した大きな掃き出し窓です。住戸内でもっとも面積が大きく、日射熱がまとまって入ってくる場所でした。ここを処方したことが、今回の工事の中心です。バルコニーへの出入りを妨げないよう、開閉の向きとクレセントの位置を現地で確認したうえで納めています。
マンションの窓断熱で、何がどう変わることが期待できる?
効果の感じ方は建物の構造・方位・階数・立地・使い方によって異なりますので、断定はいたしません。そのうえで、同様の施工で一般に期待できる変化としては、次のようなものが挙げられます。
- 夜まで残る熱:日中の熱侵入が抑えられることで、日が沈んだあとに室温が下がりやすくなることが期待できます。
- 窓際の「モワッとする」感覚:既存窓と内窓の間に空氣層ができるため、室内側のガラス面が熱を持ちにくくなります。
- 冷房の効き:設定温度に達するまでの時間や、達した後の維持のしやすさの改善が期待できます。
- 外の音:窓が2重になることで、幹線道路の車の音や雨音が届きにくくなる効果が期待できます。都市部では、この点を重視して内窓を選ばれる方もいらっしゃいます。
- 冷房の電氣代:同じ快適さを保つための消費電力の低減が期待できます。実際の削減額は電力単価・使用時間・在宅時間によって変わります。
- 冬の結露:夏の対策として行った工事が、東海の冬の結露・カーテンのカビへの対策としても働きます。
電氣代がどのくらい変わりうるかは、条件を入れて試算することができます。電氣代の考え方シミュレーションもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q. 賃貸マンションでも内窓は付けられますか。
A. 賃貸物件の場合は、オーナー様・管理会社様の承諾が必要になります。原状回復の扱いについても事前の取り決めが必要です。分譲と賃貸では進め方が変わりますので、現在の契約形態をお知らせいただいたうえでご相談ください。
Q. 管理組合への申請は自分でやるのですか。
A. 管理規約の確認と管理組合へのお届けは、原則としてお住まいの方にお願いしています。ただし、工事の内容を説明する資料が必要な場合は、こちらでご用意します。どのような書類が求められるかは物件ごとに異なりますので、確認の進め方からご相談いただいて構いません。
Q. 防音が目的でも内窓は有効ですか。
A. 窓が2重になり、あいだに空氣層ができることで、外からの音が届きにくくなる効果が期待できます。どの程度静かに感じられるかは、音の種類(車の走行音、話し声、電車の音など)や周波数、既存窓の状態によって異なるため、断定はいたしません。防音を主目的とされる場合は、その旨を現地調査の際にお伝えください。ガラスの厚みや構成を変えることで、より音に配慮した選定が可能です。
Q. 8面もあると、何日かかりますか。住みながらできますか。
A. 内窓は既存の窓を壊さず室内側に取り付ける工事のため、住みながらの施工が可能です。窓1か所あたりの取り付け作業自体は短時間で終わります。ただし、窓のサイズ・数・お部屋の状況(家具の移動が必要かなど)によって日数は変わります。日程は現地調査のうえでお出しします。
Q. 補助金はマンションでも使えますか。
A. 先進的窓リノベ2026事業は、戸建て・集合住宅のいずれも対象です。窓のサイズと製品の性能グレードごとに補助額が決められており、1戸あたり最大100万円まで活用できます。金額は窓の数・サイズによって変わるため、現地調査のうえでお示しします。予算の消化状況によって受付が終了する場合がありますので、ご検討中の方はお早めにご相談ください。
Q. 東海エリアはどこまで対応していますか。
A. 愛知・岐阜・三重の東海3県が対応エリアです。名古屋市・豊田市・岐阜市・伊勢市などにお伺いしています。詳しい対応範囲はお問い合わせの際にご確認ください。
まとめ:マンションだからと、あきらめる必要はありません
東海エリアの分譲マンションにお住まいで、「夜になっても室温が下がらない」「暑いけれど、外の音が氣になって窓を開けられない」とお感じの方は、内窓による窓断熱で、暑さと音の両方の改善が期待できます。なぜなら、夏に室内へ入ってくる熱の約7割は窓から出入りしており、内窓がつくる空氣層は熱と音の両方の伝わりを抑えるからです。
ご自宅の管理規約で設置が可能かどうか、どの窓から手を付けるべきか。それを確かめるのが、わたしたちの仕事です。一級建築士が現地でお住まいを診て、優先順位をお伝えします。
まずは、無料の窓診断(現地調査・お見積り)から。
一級建築士が窓の向き・サイズ・階数・日の当たり方を診て、優先順位と補助金の使い方までご説明します。管理規約の確認の進め方もあわせてご案内します。
ご相談・お見積りは無料です。しつこい営業はいたしません。
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