「家じゅうの窓を直すのが良いのは分かる。でも、そこまでの予算はかけられない」——このお声を、わたしたちは毎日のようにお聞きします。
今回のケースは、その現実的な答えです。築30年・木造2階建てのお住まいで、手を入れたのは2部屋だけ。2階リビングの窓8面と、1階の仕事部屋(アトリエ)の窓4面、合わせて12面に内窓「インプラス」を設置しました。玄関も水まわりも寝室も、今回は触れていません。
選んだ基準はただ一つ、「いちばん長くいて、いちばん暑い部屋」です。夏に室内へ入ってくる熱の約7割は窓から出入りするといわれています。その入り口を、過ごす時間の長い部屋から順に塞いでいく。これが「一部屋断熱」という処方の考え方です。
今回のお住まいについて
2階リビングは、なぜ夜になっても暑いままなのか?
ご相談時にうかがっていた主なお困りごと
- 2階のリビングが、日が沈んでも蒸し暑いまま戻らない
- 窓が多いぶん明るくて氣に入っているが、そのぶん熱も入ってくる
- 1階の部屋で在宅ワークをしていると、午後は集中が続かないほど暑い
- 家じゅうを工事する予算はないが、この2部屋だけでも何とかしたい
- 補助金が使えるうちに手を打ちたい
2階リビングというつくりは、明るさと眺めの良さの点で優れています。一方で、夏の暑さという観点では条件の厳しい間取りでもあります。理由は2つあります。
1つは屋根からの熱です。2階は屋根に近く、日中に屋根が受けた熱の影響を受けやすい階です。もう1つは窓の面数です。今回のリビングには8面の窓がありました。明るさを確保するための窓が、夏には熱の入り口として働きます。
そこに、東海エリア特有の条件が重なります。湿度の高さと、夜間も氣温が下がりにくいことです。日中に窓から入った熱は、床・壁・家具に蓄えられ、日が沈んだあともゆっくり放出され続けます。外氣も下がりきらないため、蓄えられた熱が抜ける前に翌日を迎えます。「夜になっても2階が暑いまま」という感覚は、この積み残しによるものと考えられます。
1階の仕事部屋も、条件は違えど同じ構図です。日中ずっと在室する部屋は、窓から入った熱がそのまま作業環境の質に直結します。
ご提案内容:家じゅうではなく「2部屋だけ」を選んだ理由
わたしたちは窓を"売る人"ではなく、"診て、直す人"です。ご予算が許せば家じゅうを一度に処方するほうが、熱の通り道を残さずに済むという意味で理想的ではあります。それでも今回、2部屋に絞ったのには理由があります。
理由1:滞在時間の長い部屋ほど、効果を実感しやすいから
窓断熱の効果は「その部屋に、どれだけ長くいるか」で体感が変わります。1日のうち数分しかいない廊下の窓を先に処方しても、変化は感じにくいものです。今回のお住まいでいちばん長く過ごすのは2階リビング、次いで1階の仕事部屋でした。ここから着手すれば、投じた費用に対する満足度が高くなると判断しました。
理由2:部屋単位で「全面」やることに意味があるから
限られた予算で範囲を絞るとき、「家じゅうの窓を半分ずつ」ではなく「一部屋の窓を全面」にするのが、わたしたちの基本的な考え方です。同じ部屋に窓が8面あって4面だけ処方すると、残した4面が熱の入り口として残り、部屋としての体感が変わりにくくなります。今回は2階リビングの8面すべて、1階アトリエの4面すべてを処方しました。
理由3:東海では、夏の工事がそのまま冬の対策になるから
東海エリアは、夏の蒸し暑さと冬の底冷えの両方があります。内窓は既存窓とのあいだに空氣層をつくるため、夏の遮熱と冬の断熱の双方に働きます。今回は夏のお困りごとが入り口でしたが、2階リビングのように窓の面数が多い部屋は、冬には冷氣が降りてくる面も多いということです。1回の工事が年間を通じて効く点は、範囲を絞る判断をするうえでの後押しになりました。
診療所からの一言一部屋断熱は「妥協」ではなく、一つの処方です。まず1部屋で体感を確かめ、納得できれば次の部屋へ——という進め方をされる方は多くいらっしゃいます。段階的に進める場合も、補助金の対象期間や工事の順序をふまえて計画を立てますので、遠慮なくご相談ください。
施工前後の様子(Before → After)
① 1階アトリエ/仕事部屋(窓3面)
1枚の写真に3面の窓が写っています。並んだ窓を一度に処方することで、この壁面全体が熱の入り口ではなくなります。作業机を置く部屋のため、内窓の枠が視界に入りすぎないよう、枠色を室内になじむものから選定しています。
② 1階アトリエ(もう1面)
別の壁面にあるもう1面です。この1面を残せば、そこが熱の入り口として残ります。「一部屋やるなら全面」という考え方に沿って、この部屋の窓は4面すべてを処方しました。在宅で仕事をされる部屋では、外の音が届きにくくなる副次的な効果も期待できます。
③ 2階リビング(窓8面)— 今回の中心
今回の処方の中心となる2階リビングです。8面の窓を一度に処方しました。窓の面数が多い部屋は、工事の手間はかかりますが、そのぶん熱の入り口も多いということです。面数の多い部屋こそ、部屋単位でまとめて処方する価値があります。
内窓を開けた状態
内窓を開けた状態です。既存の窓はそのまま残っており、そのあいだにできる空氣層が熱の伝わりを抑える層として働きます。「窓が二重になると開け閉めが面倒では」というご質問をよくいただきますが、この写真のように内窓は左右に引いて開けられます。朝晩の涼しい時間に風を通したいときは、内窓と既存窓の両方を開けてお使いいただけます。
一部屋断熱で、何がどう変わることが期待できる?
効果の感じ方は建物の構造・方位・使い方によって異なりますので、断定はいたしません。そのうえで、同様の施工で一般に期待できる変化としては、次のようなものが挙げられます。
- 夜まで残る熱:日中の熱侵入が抑えられることで、日が沈んだあとに室温が下がりやすくなることが期待できます。
- その部屋の冷房の効き:設定温度に達するまでの時間や、達した後の維持のしやすさの改善が期待できます。
- 窓際の「モワッとする」感覚:室内側のガラス面が熱を持ちにくくなります。窓の面数が多い部屋ほど、この違いは分かりやすくなると考えられます。
- 外の音:窓が2重になることで、外の音が届きにくくなる副次的な効果が期待できます。在宅で仕事をされる部屋では、この点を評価される方もいらっしゃいます。
- 床や家具の日焼け:Low-Eガラスは紫外線の透過を抑える働きも持つため、日焼け・色あせの進行を緩やかにする効果が期待できます。
- 冬の結露と足元の冷え:夏の対策として行った工事が、東海の冬の底冷え・結露への対策としても働きます。
一方で、処方していない部屋(今回であれば玄関・水まわり・寝室など)の暑さは、そのまま残ります。家全体の温度差という観点では、まるごと断熱にはかないません。この点は正直にお伝えしたうえで、段階的に進めるご計画を一緒に立てています。
電氣代がどのくらい変わりうるかは、条件を入れて試算することができます。電氣代の考え方シミュレーションもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q. 一部屋だけでも、本当に効果はありますか。
A. その部屋の中での体感は変わることが期待できます。ただし、家全体の温度差が解消するわけではありません。処方していない部屋との温度差は残ります。「まずこの部屋を何とかしたい」という目的であれば、一部屋断熱は現実的な選択肢です。
Q. 8面もある部屋だと、費用が高くなりませんか。
A. 費用は窓の数とサイズに応じて変わります。一方で、先進的窓リノベ2026事業も窓のサイズ・性能グレードごとに補助額が決まる仕組みのため、窓数が多いほど活用できる補助額も大きくなります。ご負担額は現地調査のうえでお見積りをお出しします。
Q. あとから他の部屋を追加することはできますか。
A. できます。実際に、1部屋で体感を確かめてから次の部屋へ進まれる方は多くいらっしゃいます。ただし補助金は年度ごとの制度で、予算の消化状況によって受付が終了する場合があります。数年に分けるご計画の場合は、その年ごとの制度をご確認のうえ進めることになります。
Q. 在宅ワーク中の音も静かになりますか。
A. 窓が2重になり、あいだに空氣層ができることで、外からの音が届きにくくなる効果が期待できます。どの程度静かに感じられるかは、音の種類や周波数、既存窓の状態によって異なるため、断定はいたしません。オンライン会議の音環境などを重視される場合は、その旨を現地調査の際にお伝えください。ガラスの構成を変えることで、より音に配慮した選定が可能です。
Q. 窓が二重になると、開け閉めや掃除が面倒になりませんか。
A. 開閉の操作は1手増えます。この点は事前にお伝えしています。掃除については、既存窓と内窓のあいだにホコリが入りにくくなるため、外側のガラスが汚れにくくなるという面もあります。よく開ける窓については、開けやすい形状・クレセントの位置を現地で確認しながら選定します。
Q. 東海エリアはどこまで対応していますか。
A. 愛知・岐阜・三重の東海3県が対応エリアです。名古屋市・豊田市・岐阜市・伊勢市などにお伺いしています。詳しい対応範囲はお問い合わせの際にご確認ください。
まとめ:全部やらなくても、始められます
「2階のリビングだけ暑い」「日中いる部屋だけ何とかしたい」とお感じの方は、その部屋の窓を全面処方する一部屋断熱で、冷房の効きと窓際の暑さの改善が期待できます。なぜなら、夏に室内へ入ってくる熱の約7割は窓から出入りしており、今回のケースのように、過ごす時間の長い部屋から順に入り口を塞ぐという処方が成り立つからです。
どの部屋から手を付けるべきか、その部屋の何面を処方すべきか。それを診るのが、わたしたちの仕事です。一級建築士が現地でお住まいを拝見し、優先順位と、段階的に進める場合の順序までお伝えします。
まずは、無料の窓診断(現地調査・お見積り)から。
一級建築士が窓の向き・サイズ・日の当たり方を診て、「どの部屋から手を付けるべきか」をご説明します。
ご相談・お見積りは無料です。1部屋だけのご相談も歓迎です。しつこい営業はいたしません。
お電話でも承ります:099-800-5374(09:00-17:00)
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